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授業NO.024「台車レース 2008」


授業No.024

授 業:「台車レース 2008」
対 象:仙台市立松陵小学校(1・2年生/20名)
日 時:2008年10月23日
平台車に段ボールを積んで組合せ、オリジナルの車を作り、レースを行ないます。グループで作業するので、みんなのアイデアを出し合い、相談しながら制作をします。どのチームにも負けないくらいかっこよくて、魅力的な車をつくってみよう!
講 師:飯田紀子(美術家・ワークショップコーディネーター/1994年本学油画専攻卒業)

2008.10.23 thu. 08:50~09:15
「スタッフの紹介」
今回は、チームワークが鍵となるので、お互いを良く知ることが重要です。まずはグループごとに自己紹介、そしてチームのまとめ役、アシスタントスタッフの紹介です。チームカラーの5色(ピンク・青・黄・緑・白)もくじ引きで決定します。

09:15~10:10
「車づくり1」
車の作り方、材料の紹介がありました。その後、配布されたアイデアシートに、どんな車にするか、絵や文字で書き出していきます。動物のかたち、コーヒーカップ型の車など、楽しいアイデアが飛び出します。

10:10~11:30
「車づくり2」
台車の底面にあらかじめ大きな段ボールが設置してあり、これをベースに車を制作します。中に1名が乗り込むことを条件にして、座りやすい椅子を設置したり、車を押しやすい高さにしたり…。いろいろと工夫をしながら、テーマに沿って完成させます。かたちができたら、色紙や色ガムテープ、毛糸、綿、風船などの素材で装飾します。休憩の間に、みんなが作った台車を体育館に運びます。

11:40~12:25
「チーム&車紹介、試走」
各チームの車を紹介します。他のチームの特徴をききながら、レースで勝つための作戦を練ることも重要です。みんなの考えたチームの名前はとてもユニーク。「かいじゅうごう」「なかよしチーム」「きらきらゴールドWii」「レインボーチーム」「楽天イーグルス」。紹介の後、安全に走らせる方法を飯田先生と確認しながら、テスト走行をしました。台車に1名が乗り、他の3名がスピードを調整しながら押します。ヘルメット、ひじとひざにプロテクターを着用し、レースの準備は万端です。他のチームが練習している間、チームカラーのTシャツに、マジックで描いたユニフォームも用意します。

13:20~13:50

「レース」
いよいよレースのスタートです。2チームずつの試合で、トーナメント形式で勝ち上がります。体育館を一周して競いますが、このレースは速さだけではなく、車のデザイン、チームワーク、パフォーマンス、応援などが評価されることが特徴です。飯田先生の実況中継も交えながら、一生懸命走る姿に、みんなの応援にも熱が入ります。レースの結果、優勝は「きらきらゴールドWiiチーム」、準優勝は「楽天イーグルスチーム」となりました。

13:50~14:10
「振り返り」
今日1日、どんな風にアイデアを出して、どのように制作してきたのか、盛りだくさんだった活動をスライドショーで振り返り、頭の中を整理します。振り返って、確かめることで、授業を体験した意識が深まります。

14:10~14:40
「表彰式」
優勝、準優勝に続いて、「すてき☆デザイン賞」、「ナイス☆パフォーマンス賞」、「グッド☆応援賞」が、オリジナルの賞状とメダルとともに授与されました。壇上で表彰されるのは、なんだか嬉しい気分です。

■おわりに
制作で使用したみどりの教室に、みんなが作った車が並べられました。壁には、チームごとのアイデアシートとメンバーのポラロイドが展示されました。担任の先生によれば、その後、休み時間に他の学年の児童も車で遊んでいたそうです。みんなで共有することの充実感と楽しさが、児童や大人たちへ広がった授業となりました。

 

講師 飯田紀子 (美術家・ワークショップコーディネーター/1994年本学油画専攻卒業)

ワークショップの醍醐味は、あらかじめ決められた結末がなく、おかれた状況や条件の中で、どこにたどり着くかわからないプロセスを楽しむことにあると考えています。場を共にし、ひとり一人異なる個性が相互に働きかけることによって、多様な価値と出会い、新たな視点や自分を発見する、言うなれば試行錯誤の面白さ。そのような創造性を触発する場や方法をコミュニケーションをキーワードに、制作を通して考え実践することを作品として活動してきました。
松陵小学校では、図工の授業でダイナミックな作業や抵抗感ある素材を使う機会が少ないと聞き、自分たちが乗れるサイズの段ボールを使った車づくりを考えました。また、1,2年生合わせて20人と小規模で、既に子ども同士の基本的な関わりがある環境を活かして、さらに一歩踏み込んだコミュニケーションを促すためにレースを設定しました。1グループ4人の子どもたちがスタッフのサポートも受けながら、言葉はもちろん、絵を描いたり、身体を動かしたりと視覚的、身体的なコミュニケーションも交えながら共同作業を進めました。
学校側のご理解とご協力の元、丸一日図工の時間となった当日、子どもたちは車の制作、レースとそれぞれの場面で奮闘しました。制作では意見の違いで作業がとまってしまうチームもあれば、メンバー同士の相乗効果でアイデアが次々とひろがっていくチームもあり、レースでは作戦通りに展開する一方で、リードしていたチームがカーブを大回りに回ったために追い抜かれるといったハプニングもありました。思い通りにいかないもどかしさやくやしさもあれば、アイデアが次々と広がっていく時のワクワクするような面白さや協力して問題を解決できた時の達成感もあり、さまざまな気持ちが交錯する一日となったようです。
プログラム終了後、何人もの子どもたちから言われた「もう一度やりたい」は、最も嬉しい言葉でした。試行錯誤しながら生み出すことの面白さが、次の工夫や意欲へと子どもたちの背中を推したのだとしたら、アートの可能性、必要性を信じる1人として、私自身もまた次の挑戦へ向かって大きく勇気づけられます。さまざまな価値観を持つアーティストが子どもたちと出会う機会は大変貴重です。美術大学の特性を活かした出前アート大学が、継続した活動を実施することを願ってやみません。